弁護士コラム NO.002

コラム

                               コラムNO.002
                              令和8年3月18日発信
            弁護士コラム
             一般社団法人 
             日本ソーイング技術研究協会   
                             顧問弁護士 浅野康平 


育成就労制度と「ライフイベント」—外国人材の「妊娠・出産」—

来たる「育成就労制度」の施行に向けて、受入れ体制の整備を進められていることと存じます。今回は弁護士の視点から、これまでの技能実習制度で度々深刻な法的トラブルに発展してきた「外国人材の私生活」、とりわけ「妊娠・出産」をはじめとするライフイベントへの労務対応について解説いたします。
この制度が「長期的な就労・定着」を前提とする以上、外国人従業員が日本滞在中に妊娠・出産を経験することは、当然に想定しておくべき企業のリスク管理の一環です。
1. 「妊娠=帰国・退職」は違法
技能実習制度において、「妊娠した実習生を強制的に帰国させた」「自主退職を迫った」といった事例が社会問題化しました。大前提として、日本の労働関係法令(労働基準法、男女雇用機会均等法など)は、国籍を問わずすべての労働者に適用されます。したがって、「妊娠・出産を理由とする解雇や不利益な取扱い」は違法です。
新制度下においてこのような対応をとった場合、労働局からの指導や企業名の公表、損害賠償請求といった直接的な法的リスクを負うだけでなく、「重大な人権侵害を行った企業」として、以後の外国人材の受入れができなくなる事態を招きます。
2. 「隠蔽」を防ぐための社内周知
もっとも、皆様は既に上記知識はお持ちと思います。実務上、注意するべきことは、従業員が「妊娠を知られたら帰国させられる」と誤解し、会社に妊娠の事実を隠したまま危険な業務に従事し続けることです。これは、母体の健康被害や労働災害の発生という、取り返しのつかない労務トラブルに直結します。
企業に求められる安全配慮義務を果たすためには、入社時のオリエンテーション等で「妊娠しても解雇されないこと」「産前産後の休暇が取得できること」を、明確に伝えておく必要があります。また、できれば、体調の変化などを早期に相談できる、心理的ハードルの低い相談体制を整備してください。それが、結果として貴社及び貴社のサプライチェーンを守ることとなります。


【参考資料】
「妊娠、出産等による不利益取扱いは、外国人労働者についても禁止されています」厚生労働省                  https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31884.html
「技能実習生の妊娠・出産について」出入国管理庁 
https://www.moj.go.jp/isa/applications/titp/10_00033.html



事務局から

自動車シート縫製業に携わる皆様に参考にして頂く資料です。

これからもお役に立つ資料などを随時掲載して参ります。