- 『理事長より新年のご挨拶』
新年あけましておめでとうございます。
皆様におかれましては健やかに令和五年のお正月を迎えられたこととお喜び申し上げます。
さて昨年の一年を代表する漢字は「戦」でした。まさにこの字が象徴するような争いが各方面で起こり私どもの生活にもさまざまな悪影響を及ぼしています。いまだに続くロシアのウクライナへの侵攻とそれにより各地で繰り広げられている戦闘行為はまさに「戦」そのものだと言えるでしょう。また、我が国社会を脅かしているコロナウイルス。これとの「戦」は依然として続いています。そしてコロナは私たちの日常生活にさまざまな悪影響をおよぼすのみならず人々の精神をも蝕んでいます。さらに我が国が真の独立国と言えるようになることを目指して「戦」っていただいていた安倍晋三元首相の暗殺というあってはならない事態。この事件の真相を解明するための黒い闇との「戦」は依然として終結に至っていません。「戦」の字を眺めていると、こんな暗く絶望したくなるような「戦」のことが次々に思い出されます。でも一方でカタールワールドカップでの日本代表の「戦」。世界チャンピオン経験のドイツ、スペインに先制されながらも焦ることなく逆転でねじ伏せてその力を世界中に見せつけました。このサッカー日本代表の「戦」は清々しい記憶として今でも鮮明に残っていますね。私たちも今年は彼らにあやかって目の前にある課題解決のための「戦」に取り組んでいきたいものです。
私共日本ソーイング技術研究協会は昨年度コロナの影響も考慮した結果ですが、東海地区限定で、技能実習生のモチベーション、技能・技術の向上などを目指して縫製業務のコンクールを開かせていただきました。このミシンコンクールは皆様からも好評であったのみならず厚生労働省、経済産業省、法務省など関係省庁や愛知県庁からも高く評価されました。本年は昨年のような地域限定ではなく本来目指していた全国大会ということで実施をいたします。すでに各地で予選が繰り広げられています。
4月には全国の予選を勝ち抜いてきた優秀な実習生が我が国のものづくりの中心地である愛知で一堂に会して日頃鍛えた技を競いあうことになります。この大会の実施を通して実習生たちが生きがいを持って技能実習にとり組んでもらうことと合わせて大会運営に多くの企業のみなさんが参加していただき技能実習評価試験の果たすべき役割を感じてもらうと共に業界の一体感が醸成されるきっかけになればと願っています。
さて、このように楽しみながら進めることができる「戦」がある一方で技能実習生制度をめぐる状況は刻々と変化しています。すでにご承知のことと思いますが政府は技能実習と特定技能の両制度の改正を議論する有識者会議を昨年末に立ち上げ両制度の統合も含めて外国人の受け入れの仕組みについての議論を開始しました。この中では技能実習制度の廃止ということも検討俎上に上がっていると聞き及びます。これからのさまざまな議論を経て今年秋に最終報告として取りまとめられてその後法律制定を経て制度改正が行われていくことになります。私共日本ソーイング技術研究協会は技能実習生や彼らと共におられる企業と監理団体の皆さまと制度改正の情報を共有し政府の外国人受け入れに関する方針がこれからも我が国に技能・技術を高めるべく来てくれる外国の若者の立場に立つものであること、そして彼らの働きが自動車シート縫製業界の発展にも資するものとなることなどの観点から我々としての考え方と対処方針を共有していきたいと思っています。そして必要があれば政府、関係機関に対して意見を述べていくなど技能実習生制度の仕組みを深く知る集団として正しい制度改正となるための「戦」を進めていきたいと思っております。
いずれにしても今年私共日本ソーイング技術研究協会が皆さまと共に「兎」のごとく飛躍に向けて大いに駆けていくことを願って新年のご挨拶といたします。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
令和五年 元旦
日本ソーイング技術研究協会理事長
御園 愼一郎